蓮根饅頭のこと 1

  はじめまして、私はここ大阪は北新地で和食のお店をしております。

カウンターのみの小さなお店を夫婦で切り盛りしております。

  先日、私たちのお店に、ある食材パンフレットが届きました。

フルカラーの分厚くて立派な業務用食材の通販パンフレットです。

最初は誤配送かなと、なんでここの住所がわかったのかな?と首をかしげながら、

そのパンフレットをパラパラと見ていたのでした。

それもそのはず、実は私たちがこの場所にお店を出してから、

まだひと月くらいしか、たっていないのです。

開店間もない、こんな小さなお店にまで立派なパンフレットが届いたことも

びっくりなのですが、業務用食材のあまりの種類の多さにさらにびっくり。

ほんとうに無いものを探す方が難しいくらい、とくに半加工食材が多いのは、

人手不足といわれて久しい飲食業界だからでしょうか?時代を感じることでした。

その中でも、私が思わず目を疑ってしまったのは、「銀あん」という文字なのです。

銀あんとは業界用語なのですが、味付けされた出汁に葛粉や片栗粉などで

とろみをつけたものなのですが、なんとこんなものまでチューブに入って

販売されていたのです。私にとっては「板前さんなんてもういらないのでは?」

と思ってしまうほどの衝撃なのでした。

うちでは、もちろんこういうものは使わず、マスターがすべて味付けしております。

当店ではこの銀あんを使うお料理で、蓮根饅頭があります。